
あたたかい住まいの事例 ーY邸・長野県一vol.3
Yさんご夫婦が長野県中部に家を建てたのは3年前のこと。冬の寒さが厳しい地域ですが、高台から絶景を望む開放感のあるつくりにしました。一家は暑さ寒さのストレスを感じることなく、家で過ごす時間を楽しんでいます。決め手は断熱性能。その工夫と暮らしぶりを教えていただきました。その内容を3回にわけてお伝えします。
「寒冷地に建てた高断熱の家。冬でも日中暖房なしの日も。」、「外張り断熱とトリプルガラスで結露と無縁。床暖房なしでも足元が冷えない」もあわせてご覧ください。
長野の住まいは、かつては寒さ対策が最優先されました。しかし、近年は温暖化によって事情が異なってきているようです。Yさんの家でも、夏場の日中は冷房が必要になることがあるそうです。エアコンを使う時は設定温度を高めに設定し、連続運転させて室内の温度を均一に保ちます。庭に面して長く出した庇が夏の日射を遮り、冷房の効きを助けます。
屋根もしっかり断熱を施し、降り注ぐ太陽の熱を室内に入れません。夕方、外が涼しくなったら窓を開け、風を通します。Yさんの家では、庭側から風を入れ、家の裏手から抜けるよう、対面に窓を設けています。また、2階にも通風のための窓をつけました。1階からひんやりした空気が入ると暑い空気は上昇し、2階の窓から抜けていきます。空気の性質を利用した、効果的な通風です。
[夏] 通常は通風のみ、暑さが厳しい時はエアコンを使用する。通風は、1階と2階に対面するように窓を設け、1階から風が入ると暑い空気が2階の窓から抜けていく。
▲玄関側から見た外観。北と西の窓を小さくしたことで厳しい外部環境から受ける影響を小さくした。プライバシーにも配慮している。
▲敷地の高低差をそのまま生かして建てたので、東側の低いほうにある寝室は数段低い。リビングと寝室は建具で仕切れるようになっている。
▲土間はYさん一家が希望した。ちょっとした作業をしたり、息子さんの昆虫の置き場所にしたりと多目的な場所。庭への出入り口でもある。
Yさん一家は、アウトドアが趣味です。神奈川にいた頃はキャンプによく出掛けていたそうです。「今は、庭にテントを張って楽しんでいます。新緑の頃も紅葉の時期も、素晴らしい景色を楽しめます。キャンプ場に行くまでもありません」と、ご主人は笑います。奥様も、家で過ごすことが多くなったと言います。「とくに冬は、子どもと一緒に簡単な料理やお菓子をつくったり、薪ストーブでピザを焼いたりします。家の中で子どもと一緒に楽しめることが増えました」。お子さんが成長するにしたがって、新しい楽しみが加わりそうです。