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湿気を吸い、乾燥を防ぐ。塗り壁素材としての珪藻土(けいそうど)の魅力

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湿気を吸い、乾燥を防ぐ。塗り壁素材としての珪藻土(けいそうど)の魅力

自然素材の塗り壁材として人気を集めている珪藻土。様々な左官を取扱い、珪藻土の施工事例も多い原田左官工業所の原田宗亮さんに、珪藻土壁材がどういうものか、お話をうかがいました。

左官材としては新しい素材

「珪藻土とは、植物性プランクトン「珪藻」の死骸が海底や湖底に堆積して、長い年月をかけて化石化したものです。超多孔質で火に強いことから、昔から七輪や耐火レンガなどに使われてきました。最近では、バスマットやコースターなどの生活用品にも使われているので、それで珪藻土を知ったという方も多いかと思います。

塗り壁として活用されているのは、ここ3年くらいです。左官材としては新しい素材なんです。現在、珪藻土壁材として流通しているのは、珪藻土に固化剤や色粉などを調合したものです。珪藻土は、土といっていますが、砂や灰のように素材自体は固まらない性質なので、塗り壁材にするには、固める素材(固化剤)を混ぜる必要があり、その固化剤の種類や配合の割合などメーカー各社で独自のノウハウを持っています。そのためメーカーによって含有物が異なり、中には珪藻土壁材として期待される機能が低いものもあるので、メーカーが開示しているデータと手触りや色のバランスをみて選んだ方がいいでしょう。当社では信頼できる数社の製品を、お施主さんの要望によって使い分けています。

高い吸放湿性、有害物質も吸着

珪藻土壁材の大きな特徴は、吸放湿効果があることです。梅雨のじめじめしているときなどには室内の湿気を吸い、冬の乾燥時には湿気を放出して過乾燥を防ぎ、結露の発生も抑えてくれます。そして、ホルムアルデヒドなどの空気中の化学物質を吸着・分解する作用もあります。

こういった効果をより発揮させるには、厚みを持たせて塗ったほうがいいですね。3~5ミリの厚みは欲しいところです。また、壁だけでなく天井にも塗ると、さらに効果的です。

仕上げの豊富さ、施工性の良さ

珪藻土の良い点には、仕上げのバリエーションの豊富さと、一般の方でも塗ることができる施工性の良さも挙げられます。コテやハケなどで様々な質感が表現できることも左官のおもしろさで、なかでも珪藻土は比較的扱いやすい材なので特殊な道具や材料を用いた変わり塗りも可能です。そして、塗りが粗くても機能は変わらないので、自分たちで塗りたいというお施主さんにはお手伝いもします。例えば、面倒な下地処理や養生などは職人が協力し、塗りだけお施主さんがすることも可能です。もし途中でギブアップしても、残りは職人が仕上げますので。多くの人に塗る楽しさを味わってもらえたらと思いますね。自分たちで塗ると愛着もわきますから。
(はらだ・むねあき談)

珪藻土の特徴まとめ

珪藻土のバリエーション

吸放湿効果に優れた珪藻土は、色や仕上げなどバリエーションも豊富。空間に合わせてさまざまな表情がつくり出せる。以下は、内装用珪藻土壁材の塗り見本、価格の目安は 5,400~7,200円/m。

大胆にコテあとを残した特殊コテパターン仕上げ、ホワイト。
特殊コテパターン

ラフフラット仕上げ、オフホワイト。
ラフフラット仕上げ、オフホワイト

フラット仕上げ、ホワイト。
フラット仕上げ、ホワイト。

コテ塗り仕上げ、パープル。
コテ塗り仕上げ、パープル

コテ塗り仕上げ、ブラウン。
コテ塗り仕上げ、ブラウン

クシ引きウェーブ仕上げ、ベージュ。
クシ引きウェーブ仕上げ、ベージュ

そば殻を入れてコテで仕上げたもの。ワラスサなど昔ながらの材料だけでなく、ガラス粒など現代の材料を用いることも可能。アイデア次第で自在にアレンジできるのも左官の醍醐味。
そば殻を入れてコテで仕上げ

そば殻を入れてコテで仕上げ

珪藻土の問合せ先/有限会社原田左官工業所
高い技術を持つ職人が、左官のことならなんでも応えてくれる頼もしい左官店。オリジナルの色や仕上げを豊富に揃えており、要望に合わせて提案している。ショールームにはたくさんのサンプルを展示。「自分で塗りたい」という住まい手にも応じている。

原田左官ショールーム「SAKAN LIBRARY」
東京都文京区千駄木4-21-1 ハラダビル tel.03-3821-4969
http://www.haradasakan.co.jp

珪藻土については、こちらの記事でも取り上げています。

「ネオマの家」の壁と床はあたたか性能のある木と土の素材。

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