
子育てや家事にあたって、「畳の部屋があると便利」という若い世代の意見を最近よく聞きます。子どもがはしゃいで転んでもやわらかく受け止め、また洗濯物を畳む場所として適しているというのです。
その畳の構造をご存じでしょうか? 芯となる畳床(たたみどこ)を畳表(たたみおもて)で覆い、その二辺に畳縁(たたみへり)を縫い付けたものが畳です。昔ながらの畳床は、稲ワラを厚さ5センチほどに圧縮したものです。畳表は、湿地などに植生するイグサの茎を織ったゴザ。畳縁は伝統的な色柄の織物で、縁の保護と装飾の役割を果たしています。
このように天然の植物から生まれた弾力性のある畳は、通気性、調湿性に加え断熱性もあり、さらりとした肌触りや香りのよさといった感覚の面でもすぐれた、日本の気候風土に適した床材です。
しかし、湿気を取り除くために畳干しが必要な従来の畳は、気密性の高い現代の住宅と暮らしの変化で、ニーズが低下していきました。また、農業の機械化で長い稲ワラが入手しづらくなったり、イグサの栽培も産業として縮小し、昔ながらの畳は減少しています。
新素材、新タイプも登場
現在、流通している畳床の多くは、建材として工業的につくられたものです。木材の繊維をボード状に固めたインシュレーションボードや樹脂を発泡させたポリスチレンフォーム、その2つの組み合わせなど、建材畳床と呼ばれるものが主流となっています。
畳表のイグサは、市場で8割を占めるのは中国からの輸入品です。約2割となった国産イグサは、そのほとんどが熊本県・八代産で、高級品として流通しています。しかし、国産イグサにも新たな畳が登場しています。長さ不足で廃棄処分されていたイグサを活用した、置き式の小さなサイズの畳です。デザイン性が高くカラフルで、ラグとしても気軽に楽しめそうです。
また、イグサ以外の素材を使った畳表も誕生しています。吸湿性のある機械抄き和紙をコヨリ状にして樹脂コーティングしたものや、樹脂に吸湿性のある材料を混ぜてイグサの構造や表情を模したものなどです。その特徴は、耐摩耗性や防カビ性、掃除のしやすさといった機能面を向上させた点にあります。織りや色などデザインバリエーションも豊富で、現代の住まいに取り入れやすくなっているようです。
国産イグサのカラフルな置き畳 「TATAMO!」
国産イグサに思いをよせるグッドグラス。熊本・八代産の廃棄されていた短いイグサを有効利用して「TATAMO!(たたも)」シリーズを開発しました。イグサの自然な緑色と染色による新鮮な色は計7色。「TATAMO! flooring」は、60×60センチなど5種のサイズで展開。置き式の「OKI TATAMO! 1.5畳」は、1~2色を3サイズで組み合わせます。
株式会社グッドグラス
電話:03-6868-4399
URL:http://www.tatamo.jp
耐久性にすぐれた紙製の畳表「健やか畳床」「ダイケン健やかたたみおもて」
大建工業は、建材畳床の先駆けメーカー。インシュレーションボードを用いた「健やか畳床」は、ホルムアルデヒド吸着仕様や床暖房対応など全4タイプ。畳表は、機械で抄いた和紙をコヨリ状にして、イグサの畳表と同じ機械で織った「ダイケン健やかたたみおもて」を開発。耐久性が高く、汚れもつきにくいのが特徴です。色と織りの違いで計52種類とバラエティも豊富です。
活性炭や特殊な吸着材で空気中のホルムアルデヒドを吸着する「健やか畳床 3000ECO」。一般のワラ床の約2倍の断熱性能もあります。(製品に畳表と畳縁は含まれません)
機械抄き和紙(左)と、それを コヨリに加工したもの(右)。
大建工業株式会社
電話:0120-787-505
URL:https://www.daiken.jp
取材協力:全日本畳事業協同組合
URL:http://www.tatami.or.jp