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住宅内での熱中症、年代が上がるほど意識低くなる傾向にー室内の温湿度のこまめなチェックが必要

2021年の夏(7月~9月)の平均気温は、全国的に暑い夏になると予想されています。
また、台風の影響で湿度の高い日も多く、熱中症の危険度が高い日が多くなり、熱中症により救急車で搬送される人も急増することが予想され注意が必要です。
快適空間研究所では、2018年夏に熱中症に関する意識調査を実施しました。
調査を実施した2018年夏当時、日本各地で観測史上最も暑くなりましたが、そんな夏の調査においても、住宅内での熱中症に対する意識が低く、特に高齢の人ほど意識が低い、という気がかりな結果がわかりました。
住宅内での熱中症を心配している人は43.1%
みなさんは住宅内での熱中症のリスクについて心配されたことはありますか?もしくは心配していますか?
アンケート調査では、ご自宅内での熱中症について心配している(心配している+少し心配している)と回答した人は43.1%と、半数以下でした。
住宅内での熱中症への心配は、特に60代で低い!
年代別に結果を分析してみると、年代が上がるにつれて心配する割合は低くなり、20代で65.1%と比較的高くなっている一方で、60代では38.0%の人しか心配している人はいませんでした。
住宅内での熱中症の危険度、正しく認識していますか?
次に、「ご自宅内での熱中症の危険度(*1)がどの程度まで上がる(上がっている)と思いますか」と聞いたところ、「危険」「厳重警戒」になると回答した人は、全体では17.3%のみでした。多くの方が、自分の家では熱中症になる危険はそんなに高くないだろうと思っているということがうかがえます。
しかし、一般的な住宅では、ほぼすべての物件において熱中症の危険度が「厳重警戒」以上になるとの調査報告(*2)があります。実際の住宅内での熱中症の危険度と一般の方々の認識には、大きな差があることがうかがえます。
住宅内での熱中症の危険度、正しく認識している人は60代では1割以下!
さらに、年代別に結果を分析してみると、住宅の熱中症の危険度が「危険」「厳重警戒」になると回答した人は、60代が最も低く7.6%となっていました。先ほどの設問と同様、年代が高い人ほど、危険度の認識が低い結果となりました。
高齢の人ほど、熱中症になったことがあると回答した割合は低く、実態と認識に大きな乖離が!
消防庁による、2018年(5月から9月)の熱中症による全国の救急搬送者数のデータを、年齢区分別にみると、高齢者(65歳以上)が最も多く48.1%となっています。
しかし一方で、今回の調査で、「現在のお住まいで、最近2~3年以内に、熱中症(疑いも含めて)になったことがありますか」と聞いたところ、年代が上がるほど「ある」と回答した割合は低くなり、60代では4.2%のみです。ここでも実際の搬送者数データと、熱中症の認識に大きくずれがあることがわかります。
こまめに室内の温湿度チェックを
環境省などの発表からも、高齢者は暑さに対する感覚・調節機能が低下すること、また高齢者は体内の水分が不足がちになるため、熱中症にかかりやすく、特に注意が必要であることが、幅広く呼び掛けられています。(*3)熱中症は私たちの身近にあるリスクです。
今回の調査結果からも、住宅内で熱中症に対する心配、認識について、高齢の人ほど意識が低いということがわかりました。
特に高齢者は暑くないから大丈夫だと自分の感覚を過信することなく、室内に温湿度計を置くなどして、こまめに室内の温湿度を確認して、エアコンを上手く活用していくことが大切です。また家族や周囲の人も高齢者にエアコンを使うようにうながすなどしていくといいですね。