
気象庁の1ヶ月予報によると、2020年12月―2021年1月の寒さは、平年並みかやや低い予想となっています。いよいよ本格的な冬のシーズンが到来しましたが、この時期に心配なのが「ヒートショック」です。
ヒートショックは、急激な温度変化にさらされることによって血圧が急変動し、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を引き起こすことをいいます。冬、暖房の効いたリビングなどから、廊下やトイレ、洗面所・脱衣室・浴室など室温の低い場所に移動する時、ヒートショックの危険性が高まります。
2011年の統計では、入浴中にヒートショックに関連した原因で亡くなった方は約17,000人で、これは同年の交通事故による死亡者数を大きく上回っています。入浴に関わるヒートショックを防ぐには、冬の脱衣室・浴室の室温が低くなり過ぎないようにする対策が必要です。
快適空間研究所では、冬の脱衣室・浴室の寒さについて、人々がどのように感じているかを調査(*1)しました。その結果をみてみましょう。
脱衣室で寒さを感じている人は?
まず、脱衣室で寒さを感じている人はどれくらいいるのでしょうか?調査結果では、脱衣室が「非常に寒い」「寒い」「やや寒い」と回答した人(脱衣室で寒さを感じている人)の割合は、40.9%でした。4割の人が寒い思いをしながらも、入浴のために服を脱いでいることがわかります。
脱衣室で寒さを感じているのに、寒さ対策をしていない人はなんと……
上記の質問で、脱衣室で寒さを感じている人に対して、寒さ対策をしているかどうか聞いてみました。すると、脱衣室で寒さを感じている人のうち、脱衣室で寒さ対策をしていない人は71.9%と7割を超えていました。対策をしていないから寒い、ということもあるでしょうが、毎日使う場所なのに対策をしていない人が多いことがわかりました。
では、なぜ寒いのに対策をしないのでしょうか。寒さ対策をしない理由を調査したところ、上位に挙げられたのは「寒くても我慢ができるから」35.6%、「短時間しか滞在しないので、費用がもったいないから」29.9%、「対策方法がわからないから」20.7%「暖房器具の設置でスペースをとるから」18.4%でした。寒いけど我慢してしまう人が多いことがわかりました。
今日からできる!お風呂場の寒さ対策でヒートショックを予防しよう
寒さ対策をしない理由に、「費用がもったいない」「対策方法がわからない」「設置スペースをとるから」という理由が上位に挙げられていました。しかし、暖房設備・器具がない場合でも、簡単に脱衣室や浴室を暖める対策方法があります。シャワーの活用や浴槽の蓋を開けておくなどして、浴室を暖め、その暖めた空気を脱衣室に入れるという方法です。具体的には以下の通りです。
- 湯を浴槽に入れるときに、シャワーから給湯する
- 入浴前に、シャワーで床面や壁面にお湯をかけて暖めておく
- 浴槽の湯が沸いたところで、十分にかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外して、湯気を充満させておく
- 入浴前に、浴室の戸を開けておき、あたためた浴室の空気を入れる
- 入浴前に、脱衣室の戸を開けておき、暖房された隣室の空気を入れておく
上記のような簡単な対策をしておくだけでも脱衣室・浴室内の室温が上がり、ヒートショックによる事故のリスクを減らせます。
また、「我慢できるから」と自分の感覚に頼らずに、脱衣室や浴室に「温湿度計」を置いておき、実際の室温を把握しておくことも大切です。
このような簡単にできる対策方法を組み合わせて、脱衣室・浴室の室温を上げる工夫をしてみてください。
調査結果に関する詳細は、以下のプレスリリースに掲載しています。