
心地いい家をつくるために知っておきたい、住まいの温熱環境について取り上げる連載です。前回の「断熱」に続いて、今回は「気密」について。
断熱と気密はセットで考えなければならない、家づくりの大事なポイントです。
LECTURE01 気密ってなに?
隙間を少なくすること
気密とは、一般的には「空気が出入りしないように密閉された状態」のことですが、住まいにおいては、壁と床、壁と壁、壁と天井といった接合部などの「隙間を少なくした状態」のことです。気密と聞くと、なんだか息苦しそうなイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、計画的な換気を行うためには重要です。
また、断熱性能を高めるためにも気密は不可欠です。せっかく高性能の断熱材を使っても、隙間だらけでは熱が逃げてしまうからです。
LECTURE02 どうやって気密性を高めるの?
施工が大事
前回の「断熱」で高断熱の大切さをお話しましたが、どんなに高性能の断熱材を入れても気密性が低ければ、その効果が発揮されません。その気密性を上げるには、施工に注意が必要となります。屋根(または天井)、外壁、床(または基礎)と切れ目なく入れた断熱材の継ぎ目を気密テープで処理したり、防湿フィルムなどを用いたりして、隙間が生じないようにすることが大切です。
LECTURE03 気密のメリットは?
快適で健康的な室内環境が得られる
隙間風は室内の上と下の温度差の原因ともなり、温度ムラを起こして不快な室内環境となってしまいます。そこで、気密性を高めることで温度ムラをなくし、快適で健康的な居住環境をつくりやすくします。
冷暖房効率を上げて、省エネに
隙間があればそこから熱が出入りして、せっかくの冷暖房が効きません。なので、きちんと気密をとることで、冷暖房の効き目を上げることができます。ということは、省エネになり、光熱費を下げることにもつながります。
計画的な換気で、空気を新鮮に保つ
隙間風は漏気であって、換気ではありません。隙間をなくすことで、空気を取り入れるべきところから取り入れ、出すべきところから出す計画的な換気が可能となり、室内の空気を新鮮に保つことができます。
家の耐久性を高める
壁の中などに空気の出入りがあると、結露やカビが発生し、木材が腐ってしまうこともあります。気密を高めると共に防湿層を適切に施工することで、壁内の結露を防ぐことができ、建物の耐久性を高めることにつながります。
心地いい家をつくるための基礎となる「断熱」についてはこちらをご覧ください。
▶断熱 − 知っておきたい住まいの熱講座