![]断熱材](https://akk-kaitekilab.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/top.png)
高断熱・高気密の住宅をつくる上で、要となる「断熱材」。様々な種類があり、特徴も異なります。選ぶ際にどういう点に留意したらよいか、建築家・御前好史さんにうかがいました。
家に求める断熱性能にあわせて断熱材を選ぼう
建築に用いられている断熱材は、大きく分けて繊維系と発泡プラスチック系があります(主な断熱材の種類 参照)。それぞれ特徴 (長所・短所)が違うので、どれが良い悪いということではありません。断熱材は種類も多く、施工方法も異なってくるので、高断熱住宅の設計・ 施工にはノウハウが必要となります。
私の場合は、目指す断熱性能と予算によって、グラスウール、セルローズファイバー、フェノールフォームを併用しています。外壁の断熱工法として採用しているのは付加断熱工法で、グラスウールまたはセルローズファイバーを壁の中に充てんし、フェノールフォームを外張りするという方法です。充てんする断熱材には通常、一番普及しているグラスウールを使っていますが、施主の要望によって、古紙を再利用したセルローズファイバーを使う機会も増えています。外張りには、断熱性能がとても高くて施工性もいいフェノールフォームを定番で使っています。断熱材を組み合わせて用いることで、性能と予算のバランスを図っています。
一般の方にはあまり知られていないのですが、現在、日本の省エネルギー基準で定められている住宅の断熱基準は、他の先進国と比べても低く、基準値をクリアするだけでは快適な温熱環境は得られません。そこで私は、施主には、北海道、東北、関東など地域の気候毎に推奨されている住宅の断熱性能レベルを説明します。どのくらいのあたたかさが欲しいのか、そのイメージを施主と共有することが大切だからです。そして、どのくらいの断熱性能を目指すか、その都度検討して、断熱材の厚さなどの仕様を決めています。
家づくりを考えている方は、設計者や施工店を選ぶ際に、どういう断熱材を用いて、どのくらいの断熱性能の家をつくることができるのか聞いてみるとよいでしょう。
(みさき・よしふみ談)
断熱材にはどんな種類があるの?
大きく分けて、繊維系と発泡プラスチック系があります。
繊維系では、無機系と木質繊維系に分けられます。無機系では、ガラスを溶かして繊維状に加工したグラスウールが広く普及しています。木質繊維系では、古紙を再利用したセルローズファイバーが代表的なもので、壁や天井内に吹込む施工方法が一般的です。
発泡プラスチック系は、様々な樹脂を空気よりも断熱性の高いガスで発泡させたものです。その気泡が小さくて数が多いほど、熱が伝わりにくくなります。多くは板状に製造されますが、現場で吹付けするタイプもあります。
どんな違いがあるの?
まずは、断熱材で肝心な断熱性能が違います。断熱性能は熱の伝わりやすさを示す値「熱伝導率」で表され、数値が小さいほど熱を伝えにくい、つまり断熱性能が高いことを表します。下は、素材別に熱伝導率を比較した図です。
また、断熱材によって施工の注意点や特徴も違ってきます。繊維系は、そのままだと材料の中に水蒸気が入りやすいので、例えば施工時にはシートを張るなどの防湿施工を確実に行う必要があります。発泡プラスチック系は、一般的には透湿性が低いため、シートを張る必要がなく、高い断熱性能を有します。火に弱い製品もありますが、フェノールフォームのように耐燃焼性に優れているものもあります。
参考資料:(一般社団法人) 木を活かす建築推進協議会「平成28年省エネルギー基準 (H29.4.ver) 対応 住宅省エネルギー技術講習設計テキスト――詳細計算ルート」
施工方法は?
木造住宅の外壁の断熱工法には、大きく3つあります。外張り断熱工法は、主に発泡プラスチック系の断熱材を、柱・間柱の外側から施工するものです。断熱材で柱・間柱をすっぽりと覆うので、断熱層の切れ目が少なく、柱・間柱からの熱の出入りを抑えることができます。
充てん断熱工法は、柱・間柱の間に断熱材を充填する方法です。主に繊維系断熱材が使われ、最も一般的な工法です。筋交い等の柱間の構造やコンセントボックスなどが障害物となってしまうので、隙間なく施工するよう注意が必要です。
付加断熱工法は、外張りと充てんの両方で断熱する方法です。2重に断熱することで高い断熱性能が得られます。
高性能で安心なフェノールフォーム断熱材
長期にわたって高い断熱性能を維持
フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」は、世界トップクラスの高い断熱性能を持っています。他の断熱材に比べると、同じ厚さでも高い断熱性を発揮します。断熱性の高いガスが閉じ込められた微細な気泡が、多数あることでその性能を実現しています。さらに、長期にわたってその性能を維持する長期断熱性能も備えています。
安全性が高い
多くのプラスチックが熱に弱いのに対して、フェノールフォームは、フライパンの取っ手や自動車の部材などにも広く使われているほど、高い耐熱性・難燃性を持ち併せているので、火に当たっても炭化するだけで燃え上がることはありません。また、シックハウスの原因の一つであるホルムアルデヒド放散等級がF☆☆☆☆なので、建築基準法上、内装仕 上げの規制対象外品として面積制限無しで使用することが可能です。
旭化成建材 03-3296-3530 https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/index.html
解説/御前好史(一級建築士・みさき建築研究所代表) |