
私たちの身の周りにある熱。熱は一体、どのように周りに伝わっていくのでしょうか。熱の伝わり方について知っておくと、快適な温熱環境の理解がぐっと深まります。今回は、「放射(輻射)」「伝導」「対流」の3つの熱の伝わり方について、それぞれ簡単に説明します。
放射(輻射)
物の熱が電磁波という状態で四方八方に放出され、空気などの熱を伝える物質(媒体)が無いのに、離れたところに熱が伝わる現象。輻射ともいいます。
例
太陽の熱が地球に届くのは、放射によるもの。太陽から放出された電磁波が地面をあたため、その熱が大気をあたためています。夜になって涼しくなるのは、昼間あたためられた地表の熱が空に上がっていく時に、地表の熱を奪っていくため(放射冷却、冷放射ともいう)です。
伝導
物と物が接触した時に、その接触面から熱が伝わる現象です。
例
ホットカーペットや湯たんぽなど、触ったところだけあたたかさを感じるのは伝導によるもの。
対流
空気が動くことで、その空気の熱が伝わる現象です。
例
エアコンによる冷暖房は対流によるもの。あたためられた(冷やされた) 風が人に熱を伝えます。
以上のように3つの熱の伝わり方があります。
何だか難しそうな「熱の伝わり方」かもしれませんが、実は私たちの身の回りには、この熱の伝わり方を利用しているものが多くあります。
例えば、私たちが普段使っている暖房器具も、この熱の伝わり方を利用しています。なお、熱の伝わり方による冷暖房機器の違いやそれぞれのメリット、デメリットについては、「冷暖房のポイント:温度・湿度調整のための行動・設え、設備機器の種類の違いを知る」にまとめています。
目に見えない熱の伝わり方ですが、理解することでより快適な暮らしに近づけることでしょう。