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エアコンの仕組みからわかるエアコン選び

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エアコンの仕組みからわかるエアコン選び

日本の夏には欠かせないものとなったエアコンですが、仕組みについては意外と知らない方も多いのではないでしょうか。快適性、経済性を大きく左右する省エネ性能も日進月歩です。家電とインテリアに精通した戸井田園子さんに、エアコンについてうかがいました。
エアコンの仕組みを知ろう

エアコンは、エア・コンディショナー(air conditioner)の略で、室内空気の温度や湿度などを調整する機械です。日本の家庭用エアコンは1950年代から普及し始め、当初は冷房機能のみだったのでクーラーと呼ばれていましたが、その後、冷暖房両機能が備わってエアコンが通称になりました。

エアコンは、室内の空気を冷やして(温めて)そのまま室内に吹き出しているので、基本的には換気機能はありませんが、機種によっては換気できるものもあります。近年、快適性を求めた機能も増え、空気清浄機能のある製品もあります。

また、長時間使用するエアコンには省エネ性も大きく求められます。その省エネ性能を追及したことで生まれた新技術のひとつがセンサーです。一般的なものは温度や湿度を感知するセンサーですが、最新のものは「人のいる位置、人の運動量、滞在時間」までも感知でき、人や状況に応じて効率よく自動コントロールすることでより省エネ性と快適性を高めるというものです。この1人ひとりに対応する新センサー誕生の一方、従来の部屋全体を冷暖房するタイプでも、気流の設計の工夫によって人に直接当てずに快適に高効率で冷暖房する新機種も開発されています。そして、もうひとつの注目は、自動掃除機能です。フィルターの目詰まりなどメンテナンス不足で熱効率が落ちてしまうことから、長期間性能を維持するためにエアコン内部の自動清掃の機能が開発されました。

省エネ性能は、製品に付けられている「統一省エネラベル」でチェックすることができるので、しっかり確認しましょう。(といだ・そのこ)


エアコンの仕組み

エアコンには、熱は温度の高いところから低いところへ移動するという熱の性質と、空気は圧縮されると熱くなるという性質を利用したヒートポンプという方式が用いられています。熱交換器(*1)を内蔵した室内機と室外機の間を、冷媒(*2)と圧縮機を使って熱移動させて冷暖房を行っています。以下の図は冷房の場合の仕組みを単純化したものです。この冷媒のサイクルを逆にすると暖房となり、ひとつのシステムで両方行えるようになっています。

*1 熱交換器…温度の高いほうから低いほうへ熱を移動させる部品。
*2 冷媒(れいばい)…熱を運ぶための物質。
冷房の仕組み
冷房の仕組み

エアコンは室内機と室外機がセットで、パイプでつながれています。室内機には熱交換器、室外機には熱交換器と圧縮機、パイプの中には冷媒が入っています。

  1. 室内機に取り込まれた室内の空気は、熱交換器を通った時に冷媒に熱が移動して冷たい空気となって室内に放出されます。
  2. 熱が移動して熱くなった冷媒は室外機へと運ばれます。
  3. 圧縮機で圧縮されることでより熱くなった冷媒は、熱交換器を通った時に、その熱を外の空気に移して放出します。
  4. 熱を移して冷えた冷媒は室内機に戻り、同じことを繰り返して室内を涼しくしていきます。

参考資料/ダイキン工業「空気の学校~エアコンはどうやって部屋をすずしくするの?~」


Q:エアコン選びのポイントは?

1. 冷やし方・温め方は、大きく分けて2タイプあります。部屋全体を均一な温熱環境にするタイプと、センサーによって人に直接風を当てるタイプです。どちらが快適に感じるかは個人差や好みもあるので、まずはどちらが自分たちに合っているか検討しましょう。

2. 付加機能を検討しましょう。換気、加湿、空気清浄、自動内部掃除機能、熱交換器除菌など新機能が登場していますが、その搭載の有無が価格差ともなっているので、どの機能が必要かをはっきりさせていくことが大切です。たとえば、自動掃除機能でもフィルター掃除のみのものから内部すべての掃除ができるものまで様々なので、価格と照らし合わせて選びましょう。

3. 部屋の広さに合った容量は、専門家に確認してもらった方が無難です。カタログに「○畳用」などの目安が掲載されていますが、古い家屋性能が基準になっているため正確さに欠けるところも。建物の構造にもよるので、建築家や設備業者、販売店などに検討してもらうことをお勧めします。

 

Q:省エネ性能はどう見るの?

製品に付いている「統一省エネラベル」には、「省エネ基準達成率」「通年エネルギー消費効率(APF)」などの性能数値が表示されています。省エネ基準達成率は、省エネ基準をどのくらいクリアしているかを%で表しており、数値が高いほど省エネとなります。APF(エー・ピー・エフ)は実使用状態に沿った省エネ性を示す指標で、数値が大きいほど効率がよいということになります(7前後は高効率)。見方としては、相対評価である省エネ達成率より、絶対評価であるAPF値の方が確かな目安となるでしょう。

省エネ性能は?

 


快適性と省エネ性を両立するエアコンをご紹介

パーソナルツインフローで、2人同時にそれぞれの快適さを実現

「霧ヶ峰FZ シリーズ」三菱電機
霧ヶ峰FZ シリーズ
「霧ヶ峰」の最上位シリーズ、一番の特徴は左右独立駆動の2つのファンがつくり出すパーソナルツインフロー。部屋に2人いる場合、360度感知できるセンサー「ムーブアイmirA.I.」が、1人ひとりの温度の感じ方や変化を検知して別々に気流をコントロール。“暑がりさんも寒がりさんも同時に快適”にします。

「霧ヶ峰FZ シリーズ」(14 畳程度の場合):◎期間消費電力量970kWh ◎省エネ基準達成率130% ◎通年エネルギー消費効率(APF)7.8
三菱電機  0120-139-365(お客様相談センター) http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kirigamine/

 

サーキュレーション気流と垂直気流、2 つの気流で部屋全体を心地よく

「[Rシリーズ]うるさら7」ダイキン工業

「[Rシリーズ]うるさら7」ダイキン工業
“うるる(加湿)とさらら(除湿)”でおなじみの「[Rシリーズ]うるさら7」は、先進の吹き出し構造と大風量でつくり出す2 つの気流が特徴。天井に沿って気流をまわして人に風を当たりにくくするサーキュレーション気流に加え、冷房時は垂直気流のコンビネーションで温度ムラを抑制。部屋全体を快適にします。

「うるさら7」(14 畳程度の場合):◎期間消費電力量1,201kWh ◎省エネ基準達成率128% ◎通年エネルギー消費効率(APF)6.3
ダイキン工業  0120-88-1081(お客様総合窓口) http://www.daikinaircon.com/roomaircon/

 

解説/戸井田園子 家電& インテリアコーディネーター
大手プレハブメーカーでインテリアを担当し、フリーへ。All About をはじめ、雑誌、新聞などで生活家電を中心に情報発信中。中立的な立場と消費者目線で製品を実際に使った分かりやすい解説が得意。

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