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寒冷地に建てた高断熱の家。冬でも日中暖房なしの日も。

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寒冷地に建てた高断熱の家。冬でも日中暖房なしの日も。

あたたかい住まいの事例 ーY邸・長野県一 vol.1

Yさんご夫婦が長野県中部に家を建てたのは3年前のこと。冬の寒さが厳しい地域ですが、高台から絶景を望む開放感のあるつくりにしました。一家は暑さ寒さのストレスを感じることなく、家で過ごす時間を楽しんでいます。決め手は断熱性能。その工夫と暮らしぶりを教えていただきました。その内容を3回にわけてお伝えします。

断熱性能が高いから、温もりを逃さない。 暖房の効きが持続する

Yさんの家は高台の端に位置しています。敷地を囲む林の向こうにリンゴ畑が点在し、遠景には平野部に広がる市街地を望めます。さらに遠くには長野を代表する名山が連なっています。

家の東側にある多目的室からの眺め。雑木林の向こうは斜面、リンゴ畑や遠くの市街地が見渡せる。
家の東側にある多目的室からの眺め。雑木林の向こうは斜面、リンゴ畑や遠くの市街地が見渡せる。

この家を建てる前、ご夫婦は神奈川県の古い賃貸マンションで暮らしていました。ご主人は長野県出身。2011年 長野県で発生した大地震で生家が被害を受けました。Uターンするにあたって同じ場所に家を再建する気持ちになれず、土地を探していたら、この場所に巡り合ったそうです。

抜群の眺望を生かし、「カーテンなしで暮らしたい」というのがご夫婦の希望でした。設計はYさんのお姉さんの紹介で知り合った、暮らしと建築社の須永次郎さんと理葉さん。要望を伝えると、眺望が開けた南東に向けて両腕を広げたようなプランが提案されました。

くの字型の家は、端から端まで6畳間を横につないだような間取りです。廊下はなく、すべての部屋に太陽光が入り眺望も良い方向に面しています。

この家は、お母様と一緒に暮らす2世帯住宅です。玄関土間を境にして2つの住まいを分けていますが、ダイニング・キッチンとお風呂は共用しています。リビングや寝室、お母様の部屋といった場所を細長くつなげることで、2つの世帯のプライベートな空間を程よい距離感で隔てています。

2世帯の領域を分ける玄関土間。扉の向こう側がお母様のスペース。コンクリートの土間にも、しっかり断熱を施している。
▲2世帯の領域を分ける玄関土間。扉の向こう側がお母様のスペース。コンクリートの土間にも、しっかり断熱を施している。

家の中心は薪ストーブを挟んだダイニング・キッチンとリビングです。もっとも奥に建具で仕切れる寝室。冬の日中は建具を閉めて暖房の効率を高めます。口フトのような2階には多目的室と在宅で仕事をされている奥様のワークスペース、それに収納があります。

この家が建つ地域は寒さが厳しく、最低気温がマイナス15℃、最高気温が0℃を下回る日があります。暖房は薪ストーブとエアコンを併用。「朝は起床時間に合わせてエアコンのタイマーをセットし、起きたら薪ストーブに火を入れます」と奥様。

朝方の室内はひんやりしていますが、身支度するのがつらい程ではないそう。日が昇ると南側の大開口部から入る日射で家の中は暖まります。家にいる時間が長い奥様は、「お日さまの力って偉大ですね」と言います。「朝9時ぐらいにエアコンを止める日もあります。薪ストーブの火も自然に消えますが、それでも寒く感じません」。夕方になって肌寒さを感じるまで、暖房なしで過ごす日もあるそうです。断熱性能が高いから、家の中がいったん暖まると、長時間持続するのです。

ダイニング・キッチンとリビングの間のストーブ。「火を見ながら夜更かししていると、気持ちが良くてそのまま眠ってしまうことも」とご主人。
▲ダイニング・キッチンとリビングの間のストーブ。「火を見ながら夜更かししていると、気持ちが良くてそのまま眠ってしまうことも」とご主人。

【DATA】
所在地/長野県
竣工年月/2017年3月
家族構成/夫婦+子ども1人
設計/暮らしと建築社
施工/松代建設工業株式会社
構造・規模/木造2階建て
建築面積/157.33m2
延床面積/238.16m2
断熱仕様/UA値:0.35W/(m2 ・K)
-屋根:外張り・ネオマフォーム100mm
-外壁:外張り・ネオマフォーム 45mm
-基礎:内断熱・押出法ポリスチレンフォー ム100mm、水平断熱補強・押出法ポリスチレンフォーム30mm
窓の仕様/木製サッシ low-eトリプルガラス、アルミ樹脂複合サッシ low-eトリプルガラス
換気システム/第3種換気
暖房/薪ストーブ、エアコン
冷房/エアコン
給湯/エコキュート

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